第6回日本心臓血管麻酔学会学術集会・総会開催に寄せて

劔物 修

 第6回日本心臓血管麻酔学会学術大会・総会を札幌市に於いて開催させていただくことを、教室員一同と共に大変光栄に思っております。故藤田昌雄理事長からの依頼でもあり、"no"と言えずに引き受けた経緯がありますが、正直なところ複雑な心境でありました。本学会は日本循環制御医学会から分かれて独立したもので、私としてはこれまで余り積極的には関与していない積もりでいたからであります。しかし、お引き受けした以上は会員の皆さまに有意義なものとなるよう、教室員一同と共に努力して参りました。

 今回は特にメインテーマは設けておりませんが、プログラムをご覧いただければご理解いただけるように「心臓血管手術に伴う臓器障害」を取り上げている積もりです。 Hindman. B., Mangano. DT., Mangano CM., の招待講演内容は、周術期における中枢神経、腎、そして心、の諸問題であります。特別講演は「本邦における心臓移植の道 のり」と題して、東京女子医科大学名誉教授で新設された聖路加国際病院ハートセンター長 小柳仁先生にお願いできましたことを心から嬉しく思っております。日本における心臓移植の展望について、医学的、社会的、そして倫理的な面からのお話をいただけるものと伺っております。「基礎的な話を少し詳細に講演していただきたい」 との会員からのご意見を参考にして、今回は6題の教育講演を選びました。いずれも魅力的なテーマで、内容の濃いものと思われます。委員会報告は、症例検討委員会と 学術委員会からの二つが予定されております。シンポジウムは畔政和先生の企画と司会で「新世紀における血小板療法」、野村実先生とHong、Yong-Woo先生の司会で 「Off-pump CABG」を開催致します。後者は21世紀における日韓両国の心臓血管麻酔 学会の交流の架け橋となることを期待して、Japan - Korea Friendship Symposiumと致しました。ディベイトは学術委員会小児グループからの要望で、堀本洋先生の司会で「小児心臓手術の麻酔管理」が企画されました。一般演題は、インターネットでの受付と致しましたが、140題以上の応募がありました。韓国からの一般演題も10題前後となり、多数の韓国心臓血管麻酔学会メンバーの参加が予定されております。一般演題は全てポスター発表として、夕方にコンパクトに討論する時間を取っております。また、一般演題の中から特に優れていると思われる13題を選出し、外須美夫学術委員長に候補論文5題を選定いただき、学術大会で発表後、そのうちの1題をJSCVA賞 に選考する運びとなっております。

 本学術集会・総会が多くの会員の参加を得て、故藤田昌雄理事長の追悼に相応しく実 のある会となることを期待しています。10月初旬の札幌そして北海道は、一年で最も 美しい季節かもしれません。学会参加だけでなく、北海道の自然もご満喫いただけま すことを心から祈念しております。

平成13年9月


2001.9.8