一般演題

セッション:ポスター 3
セッション名:大血管手術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:405会議室
演題順序:6番目

胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術の麻酔管理

昭和大学 医学部 麻酔学教室
○大塚直樹、井上希代子、横山俊郎、安本和正
 近年、大動脈瘤に対して経動脈カテーテル操作によるステントグラフト内挿術が行われるようになり、高齢者、再手術例や分離肺換気を必要とする例など危険性の高い手術を回避できるようになった。
 今回我々は過去3年間に当施設で施行された17例のステントグラフト内挿術の麻酔管理をまとめ、若干の考察を加えて報告する。
 症例は胸部大動脈瘤を有する患者で、47〜83歳(平均64.6歳)の男性11例、女性6例である。数例を除いて亜酸化窒素ー酸素、フェンタニル、プロポフォール持続投与もしくはセボフルランを使用して麻酔維持を行った。グラフトが正確な位置に留置できない時の緊急開胸術に備え、大多数の症例では分離肺換気用の気管チューブを用いた。全例でグラフト留置の際に経静脈的にアデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)を10〜50mg投与し、一時的な心停止を得て血流を抑制することにより正確な位置にグラフトを留置することができた。また、ATP使用にあたって挿入が困難だった例やすでに肺動脈カテーテルが挿入されていた症例を除き、麻酔導入後術前に内頚静脈からあらかじめペーシングリード付き肺動脈カテーテルを挿入した。
 以上の方法で胸部大動脈瘤におけるステントグラフト内挿術の麻酔管理を行った。17例中4例が人工血管置換後手術例で、70歳以上の高齢者も6例であったが、木目の細かい麻酔管理によって重篤な合併症を起こさず、安全かつ正確な位置にステントグラフトの挿入を行うことができた。