一般演題

セッション:ポスター 10
セッション名:症例
日時:9月22日 15:40-16:40
場所:404会議室
演題順序:3番目

80歳以上の開心術10例の麻酔

沖縄県立中部病院 麻酔科
○依光たみ枝
【目的】80歳以上の開心術の麻酔について検討した。
【調査対象】1992年5月〜2002年4月(10年間)に施行された後天性心疾患の開心術777例中、80歳以上の10例(1.3%)について検討した。
【結果】
1.診断名:解離性胸部大動脈瘤7例、急性心筋梗塞・不安定狭心症2例、大動脈弁狭窄1例となっており、大動脈弁狭窄症を除く9例が緊急手術であった。
2.周術期問題点:術前ショック7例、大量出血3例、心停止1例、血液透析1例、意識障害2例、術中出血傾向3例で術後は全例レスピレータケアとなった。
3.麻酔法:ケタラ−ルあるいはフェンタニ−ルで導入、麻酔維持はフェンタニ−ル8例、モルフィン2例となっていた。
4.予後:10例中3例(術中死2例は解離性胸部大動脈瘤破裂例、術後21日目死亡は不安定狭心症例)が死亡(30%)した。80歳以上の解離性胸部大動脈瘤の緊急手術7例中2例が死亡し、その死亡率28.6%は80歳以下の同手術81例中19例の死亡(23.5%)に比し、有意差は認められなかった。
【考察】平均寿命の延長、手術手技の進歩により超高齢者の開心術例も増加し、本調査でも10例中7例が最近5年間の手術例であった。しかし解離性胸部大動脈瘤手術は、細心な麻酔法にも関わらず重篤な術前状態の為死亡率は80歳以下・以上とも24〜29%と高かった。