一般演題

セッション:ポスター 10
セッション名:症例
日時:9月22日 15:40-16:40
場所:404会議室
演題順序:1番目

僧房弁狭窄症合併妊娠の2例

埼玉医科大学 総合医療センター 麻酔科
○半田冨美、照井克生、横田和美、河村智永子、齋藤利恵
【症例1】37才2経産、前回分娩時より僧房弁狭窄症(MS)を指摘されていた.僧房弁弁口面積(MVA)1.5cm2、洞調律、非妊時より労作時息切れあり.切迫早産に対してシロッカ−手術を施行し、妊娠35週より安静入院とした.妊娠37週5日、動脈圧ラインおよび肺動脈(PA)カテーテル挿入のうえ、L3/4より硬膜外麻酔を施行し、オキシトシンで分娩誘発・促進を行なった.妊娠37週6日、分娩進行順調にて努責なく自然分娩となった.児娩出前後の経胸壁心エコー(TTE)は問題なかった.
【症例2】30才1経産、25才時に僧房弁閉鎖不全に対して僧房弁形成術が施行.妊娠中期より労作時息切れが出現、35週時安静目的入院となった(洞調律、MVA2.4cm2).妊娠38週6日自然陣痛発来し、動脈圧ラインとPAカテーテルを挿入し、L2/3より硬膜外麻酔を施行し、オキシトシンで陣痛促進を行ない、鉗子分娩とした.児娩出後に弛緩出血(約500ml)がみられ、血圧低下(120/60→70/40)をきたし、PA圧波形は楔入した. TTEで左室内腔の狭小化と壁運動亢進を認め、急速輸液と子宮収縮マッサージによって血行動態の回復を得た.
【考察】2例とも陣痛周期に相関するPA圧の変動が観察され(図は症例1)、児娩出後に著しい変動をきたした.
【結語】MS合併妊娠の周産期管理は循環血液量の安全域が狭く、厳密な血行動態管理が必須である.とりわけ児娩出直後に、循環血液量の過不足のないよう迅速で的確な、輸液・末梢血管抵抗および子宮収縮の管理が必要である.2例とも、硬膜外無痛分娩およびPAカテーテル/TTEを併用したモニタリングは有用であった.