一般演題

セッション:ポスター 7
セッション名:CABG
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:504会議室
演題順序:1番目

CABG術後の人工呼吸時間,ICU入室期間,術後合併症に性差はあるか- 当院160症例の検討 -

山口県立中央病院 麻酔科
○柴崎誠一、吉冨 郁、中村久美子、原西保典、岡 英男、田村 尚、又吉康俊
冠動脈バイパス手術(CABG)において,女性は男性に比較して,術後の人工呼吸時間,ICU入室期間が長いという報告がある1)が,本邦では検討されていない.今回,われわれは合併症を含めて当院でのCABG術後の人工呼吸時間,ICU入室期間について後向き調査で検討したので報告する.
【対象と方法】1998年1月から2002年5月までの体外循環を使用した予定CABG患者160症例を対象とした(術前IABP留置症例は除いた).男性(M,120),女性(F,40)に分け,両群において,以下の項目を検討した.1)年齢(歳)2)身長(cm)3)体重(kg)4)基礎疾患(症例)5)バイパス枝数(枝)6)フェンタニル投与量(μg/kg)7)ノルアドレナリン投与(症例)8)体外循環時間(分)9)麻酔時間(分)10)ICU入室時のP/F 11)気管挿管時間(時間)12)ICU入室期間(日数)13)術後合併症(脳)14)転帰
【結果】以下の各項目で前者がM群,後者がF群である.1)年齢;66±9,70±72)身長;163±5,149±53) 体重;62±10,50±8 4)基礎疾患;a)高血圧症 72,23 b)糖尿病 38,18 c)心筋梗塞の既往 55,12 5)バイパス枝数;3±1,3±1 6)フェンタニル投与量;35±14,36±11 7)ノルアドレナリン投与;11,3 8)体外循環時間;116±64,123±65 9)麻酔時間;321±94,326±96 10)ICU入室時のP/F 278±116,287±116 11)気管挿管時間;22±60,20±24 12)ICU入室期間;3.9±3.9,3.8±2.3  13)術後合併症;脳 4,1 14)転帰;死亡0,0  注;*P<0.05)
【考察】最近,CABG術後の合併症や死亡率が女性で高いという報告がなされた2) .特に50歳未満の女性に顕著であることから遺伝子,ホルモン(エストロゲン)の関与が示唆されているが,完全には解明されていない.当院でのCABG術後で気管挿管時間,ICU入室期間,術後合併症に性差は認められなかったが,母集団が少ないこと,女性が高齢であったことがその一因かもしれない.
【結語】当院のCABG患者において,術後気管挿管時間,ICU入室期間,術後合併症,転帰において性差は認められなかった.
文献
1)Anesthesiology 92:414-, 2000. 
2)Circulation 105:1176-,2002.