一般演題

セッション:ポスター 11
セッション名:経食道心エコー
日時:9月22日 15:40-16:40
場所:405会議室
演題順序:3番目

経食道心エコーガイド下に肺動脈カテーテルを冠静脈洞へ簡便に挿入する方法

横浜市立大学 医学部 麻酔科 
○石川善啓、宮下徹也、小出康弘、境 倫宏、山田芳嗣
心筋酸素需給バランスの指標のひとつとして冠静脈洞(CS)の血液酸素飽和度(ScsvO2)が有用とされている。しかしながらCSへのカテーテル挿入にはレントゲン透視と造影剤などを用いた煩雑な手技が必要であり、ScsvO2をモニタリングすることは一般的でない。我々は術中に経食道心エコー(TEE)を用いて7.5Frのオキシメトリー付きの肺動脈カテーテルをCSへ簡便に挿入する方法を検討したので報告する。
【対象と方法】対象は腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を施行する患者5名とした。CSへのカテーテル挿入方法は全身麻酔導入後、まず8.5または9Frのシースを右内頚静脈より挿入する。次に肺動脈カテーテルを肺動脈内に挿入しキャリブレーションする。TEEを挿入しCSの画像をモニターした後、肺動脈カテーテルの先端を右房まで戻し、先端バルーンに空気ではなく生理食塩水を1〜1.5ml注入し、捻りを加えながら進め、生理食塩水の入ったバルーンの重みでCS出口にカテーテル先端を到達させる。次にバルーン内の生理食塩水を緩徐に吸引しながらカテーテルをCS内に挿入し、血液酸素飽和度の急激な低下とTEEにてCS内にカテーテルが描出されていることを確認する。さらに、カテーテル先端圧をモニターして、不適切なカテーテルの位置による急激な圧上昇がないことを確認する。
【結果】この方法により全例挿入可能であった。挿入の所要時間はバルーンに生理食塩水を注入してから約5〜15分程度であった。手術終了時にバルーンに空気を注入し肺動脈へ挿入し、肺動脈カテーテルとして術後管理に利用した。
【考察】本法の特徴は、CSが右心房内後方にあることから生理食塩水とカテーテル自体の重みでカテーテル先端が後方へ落ちていく事を利用することであり、レントゲン透視や造影剤を必要としないこと、手術途中からの挿入も可能であること、特殊なカテーテルを必要としないことなどの利点がある。しかし、仰臥位での手術症例に限定されることが今後の課題である。
【結語】経食道心エコーを用いてオキシメトリー付きの肺動脈カテーテルをCSへ簡便に挿入する方法を検討した。