一般演題

セッション:ポスター 1
セッション名:モニタリング
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:403会議室
演題順序:4番目

経食道心エコー用プローブを利用した腎葉間動脈血流の評価

大分医科大学 医学部 麻酔科学教室1
宮崎県立延岡病院 麻酔科2
○後藤孝治1、伊東浩司1、日高正剛1、長谷川 輝2、新宮千尋2、早野良生2、野口隆之1
【目的】心臓大血管手術の麻酔管理において経食道心エコーは必須なものとなっている。本法により腹部臓器の腎臓も描出することが可能であるが,これまで腎血流を評価した報告はほとんどない。今回、経食道心エコー用プローブを利用し、パルスドプラ法により腎実質内にある葉間動脈血流波の測定を行い、術前腎機能と比較検討した.
【方法】ASAPS2〜3の心臓大血管手術患者20名を対象とした。患者は術前に24時間クレアチニンクリアランス(Ccr),血清尿素窒素(BUN)および血清クレアチニン(Scr)の測定を行った。患者はCcrにより腎機能の障害度を正常群(Ccr70ml/min以上,N=10)と障害群(Ccr70ml/min未満,N=10)の2群に分けて検討した。麻酔導入後,肺動脈カテーテルを留置し,さらに,経食道心エコー用5MHzマルチプレーンプローブを挿入し,循環動態安定後に本研究を開始した。この間,血行動態に影響を与えると考えられる薬剤の投与は行わず,手術も施行されなかった。Garwoodら1)の方法に従い,右腎葉間動脈を同定しパルスドプラ法で葉間動脈の収縮期最高血流速度(Vmax)および拡張期最低血流速度(Vmin)を測定し,これらの相対値であるVmax/Vminおよびresistance index(RI=Vmax-Vmin/Vmax)を算出した。同時に,各血行動態値の測定を行った。統計学的処理はunpaired t-testを用い,各パラメータ間の関係については直線回帰分析を行った。P<0.05を有意とした。
【結果】描出率は100%であった.障害群は正常群と比較しVminの有意な減少,Vmax/Vminおよびresistance indexの有意な増加が認められた。さらに,CcrとRIに最も良好な相関が認められた。
【結論】本法は、心臓大血管手術中の腎血行動態及び腎機能のモニターとして使用できる可能性が示唆された.
【参考文献】 1)Garwood S, et al. J Cardiothorac Vasc Anesth 2001; 15: 65-71