一般演題

セッション:ポスター 5
セッション名:小児開心術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:407会議室
演題順序:2番目

小児開心術後のDelayed Sternal Closure 施行症例の検討

岡山大学 医学部 麻酔科蘇生科
○岩崎達雄、竹内 護、大江克憲、多賀直行、谷野雅昭、森田 潔
Delayed sternal closure(DSC) は心臓手術に際し切開した胸骨を閉鎖せずに術後管理を行い呼吸、循環系が安定した後に胸骨を閉鎖する方法である。当院においても閉胸により循環抑制を合併する症例にはDSCを行っている。今回当院ICUに入室したDSC症例について検討を加え報告する。
【対象と背景】対象は当院において2002年1月から5月までにDSCを行った大動脈閉鎖、大動脈肺動脈中隔欠損、総動脈幹残遺、両大血管右室起始、左心低形成各1症例、修正大血管転位2症例、計7症例。年齢は生後2日から4歳、平均体重は5.6kg(2.1kg〜13.8kg)であった。
【結果】全症例が閉胸されICUを退室し死亡例は無かった。閉胸術は平均術後3.6日(3〜5日)に施行されICU滞在日数は平均16.4日(6日〜37日)であった。6症例で閉胸術までの水分出納は平均42ml/kgのマイナスバランスとなっていた。カテコラミンインデックス(CAI)はICU入室時は平均15.1と高値であったが閉胸直前には7.6と減少し、閉胸により9.3と増加した。心拍数は114.7/分から131.1/分に増加し、収縮期血圧91.6mmHgから86.1mmHgに低下し、心房圧6.7mmHgから9.3mmHgへと増加した。また閉胸術施行前後で呼吸回数、呼気終末陽圧、酸素濃度は変化がなかったが吸気圧は10.8から12.6へと上昇していた。閉胸術の前後を通じて腹膜透析の施行例は無かった。縦隔内滲出液および心嚢、縦隔ドレーン先端、肺動脈圧、心房圧ライン先端の培養はすべて陰性であった。
【結語】DSCにおいて術後約3日後には閉胸可能であった。閉胸術により呼吸、循環動態は若干悪化した。全症例感染症を合併することなくICU軽快、退室した。