一般演題

セッション:ポスター 1
セッション名:モニタリング
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:403会議室
演題順序:1番目

NICOを用いたオンポンプならびにオフポンプ冠動脈血行再建術周術期の呼吸機能の比較

心臓血管センター北海道大野病院 麻酔科1
北海道大学 大学院 医学研究科 侵襲制御医学講座2
○坂本 浩1、原澤克己2、真弓享久2、劔物 修2、脇坂博士1
【目的】NICOは非侵襲的連続心拍出量モニターであると同時に呼吸のモニターとしての側面も併せ持っている.この研究はオンポンプとオフポンプの冠動脈血行再建術の周術期の呼吸機能を比較し,人工心肺が呼吸機能に与える影響を評価しようとするものである.
【方法】対象はインフォームドコンセントを得られた,オンポンプ冠動脈血行再建術(CABG)を受ける患者39名とオフポンプ冠動脈血行再建術(OPCAB)を受ける患者25名.麻酔はセボフルラン1-2%とフェンタニル20μg/kgで維持した.CABG群の人工心肺(CPB)使用中はプロポフォールをTCIにて2μg/mlに設定して投与した.血行動態とNICOのデータは3分毎にコンピュータに取り込んだ.心係数(CI),肺血管抵抗係数(PVRI),肺毛細血管血流(PCBF),二酸化炭素呼出量(Vco2),分時肺胞有効換気量(MValv),動的コンプライアンス(Cdyn),酸素飽和度(Spo2),呼気終末二酸化炭素(ETco2)を(1)CABG群のCPBからの離脱後とOPCAB群のグラフト吻合終了後,(2)両群の胸骨ワイヤー固定時についてunpaired t-testを行いp<0.05を有意差ありとした.
【成績】患者背景因子としては,OPCAB群が有意に高齢で体格が小さくバイパス本数が少なかった.肺活量,1秒率には両群間に有意差はなかった.PCBF,Vco2,MValvは(1)のときCABG群でOPCAB群よりも有意に大きかった.ETco2,Spo2は(1)のときOPCAB群でCABG群よりも有意に高かった.CI,PCBF,Vco2,MValvは(2)のときCABG群でOPCAB群よりも有意に大きかった.Spo2は(2)のときにOPCAB群でCABG群よりも有意に高かった.
【考察】(1)ならびに(2)でPCBFとMValvがCABG群でOPCAB群よりも有意に大きかったにもかかわらず,Spo2はCABG群がOPCAB群よりも有意に低かったことは,CPB後に肺のガス交換能が低下していたことを示唆していると考えられる.
【結論】人工心肺を用いないオフポンプ冠動脈血行再建術では人工心肺を用いるオンポンプ冠動脈血行再建術よりも術後の肺機能の低下が小さかった.