パネルディスカッション

セッション:パネルディスカッション(4)
セッション名:開心術と非開心術の重複手術の麻酔管理
日時:9月22日 12:30-14:00
場所:メインホール
演題順序:3番目

心臓手術と非心臓手術を同時施行した12症例

東邦大学 医学部 麻酔科学第一講座1
太田総合病院2
○寺田享志1、中井理恵1、牧 裕一1、亀井俊哉2、前原康宏1、菊地博達1
【はじめに】 同時手術は二期的手術に比べ、患者の肉体的精神的負担を軽減させ、術後合併症の発生頻度も減少するといわれている。我々の施設でも12症例の心臓、非心臓の同時手術を経験したので、それらの症例に対して術後合併症を調べ、検討した。
【対象および方法】1998年1月から2001年12月までに当施設で施行された、同時手術12症例を調査した。
【結果】冠動脈再建術と動脈に対する再建術が8例をしめた。内訳は2例がCABGとYグラフト、2例がmid CABGとストレートグラフト、1例がoff pump CABGと両側のFPバイパス、1例がoff pump CABGと内頸動脈剥離術、1例がoff pump CABGと内頸動脈剥離術および胆嚢摘出術を、1例がmid CABGと内頸動脈剥離術であった。 AVRと子宮全摘術、AVRとCABGおよび胆嚢摘出術、off pump CABGと右上葉部分切除術、ドール手術とCABGおよび胆嚢摘出術が各1例ずつ施行された。全症例中、3例に肺炎を合併し、その内1例は、術直後縦隔内出血にて再手術となり肺炎からショック状態となり死亡した。また肺炎を併発した3例中2例がCABG症例であった。死亡例はドール手術とCABGおよび胆嚢摘出術症例であった。
【考察】同時手術症例12症例のうち8例が動脈に対する再建術であった。YグラフトやストレートグラフトおよびFPバイパスは循環動態の変動が激しく冠動脈性心疾患を有する患者にはriskを軽減させるためにもグラフトを作成することは優位であると考えられ、術後合併症の発生率を減少させるためにもできる限りmid CABGやoff pump CABGを行う方がよいと考えられた。また内頸動脈の狭窄のある症例では、内頸動脈剥離術を先に施行しまた可能な限りmid CABGやoff pump CABGで手術を行うことが有効な手段だと考えられた。以上のことより、今回近年off-pump bypassやMID CABGなどの非人工心肺下に行われるbypass手術は、同時手術において有効な手段となると考えられる。