一般演題

セッション:ポスター 16
セッション名:術中・術後管理
日時:9月22日 15:40-16:40
場所:505会議室
演題順序:3番目

心臓麻酔における自動麻酔記録CompuRecord®の使用経験

岡山大学 医学部 麻酔・蘇生学教室 
○佐藤哲文、小坂 誠、宮崎明子、森田 潔
【目的】心臓麻酔では、患者の生体情報を観察して記録することや投薬およびその記録、さらに頻回に術中血液検査の施行とその記録等があり、麻酔管理上これらに多くの時間を割かれる。また同時に、手術中に術者の術操作に協力するために、術野の進行状況も把握する必要がある。このような煩雑な心臓麻酔において、手術室のSystem として構築しなくても使用可能な、Stand alone typeのPhilips社製自動麻酔記録CompuRecord®を用いて、省力化を含めてその有用性を検討したので報告する。
【方法】成人心臓手術患者27名、平均年齢63.0±16.04歳(平均値±標準偏差)にて行った。症例は冠動脈バイパス術11例、弁性疾患7例、大動脈瘤5例、その他4例であった。CompuRecord®をWindows NT版のノート型パーソナルコンピューターに搭載して麻酔器のテーブルに設置し、Philips社製の生体監視装置からの生体情報とAbbott Laboratories社製CCO/SvO2およびDatex-Ohmeda社製呼気ガス分析装置からのデータ−を自動的に取り込めるように接続した。従来のペンで麻酔記録用紙に記載する方法も同時に行って比較し、CompuRecord®の心臓麻酔における有用な面と改善を必要とする点を調べた。
【結果】生体情報の記録に関しては、CompuRecord®では自動的に記録されるため記載のための労力が必要無く、モニター画面上でデータ−の確認のみで済み大きく省力化に役立った。投薬関係ではCompuRecord®では32項目の経時的な行が16セット用意されており、麻酔導入時、麻酔維持等の時期に合わせたセットと薬品の種類によるセットを組むことが可能で便利であった。また、計算機能を有しておりカテコールアミン、血管拡張薬等をμg/kg/min.にて投与するのに便利であった。欠点としては、輸液ルートが多く存在する場合や同一ルートで輸液剤および輸血が途中で頻繁に変更が行われた場合、視認性が悪く表記上の困難があった。
【結論】自動麻酔記録CompuRecord®を成人心臓麻酔症例に用いて、有用性を検討した。生体情報を漏れなく正しい時間軸に自動的に記録するので、省力化に大きく貢献した。薬品の投与およびその記録には、事前登録でセットを組むことで操作性が大きく向上した。輸液・輸血等の静脈ラインの処理に更なる改良が必要と思われた。