一般演題

セッション:ポスター 5
セッション名:小児開心術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:407会議室
演題順序:1番目

小児心臓外科における一酸化窒素吸入療法27例の検討

熊本市立熊本市民病院 麻酔科
○増田和之、満瀬哲郎、橋口清明、城 嘉孝、赤坂威史、天野麻子、尾方信也
 先天性心疾患周術期の一酸化窒素吸入療法(iNO)の有用性が報告されている。当院で1997年から2001年までの5年間に小児心臓外科の手術が行われた701例のうちiNOを施行された27症例(施行率3.9%)をretrospectiveに検討した。対象患者の内訳は開心術23例、非開心術4例で、年齢は10.9±13.4ヶ月(生後1日〜3才4ヶ月),体重は5.6±3.1(1.9〜11.5kg)であった。術式別ではTAPVD根治術が7例で最も多かった。NO開始濃度は7.5±3.2(4-16)ppm,最高濃度は12.0±5.5(4.7-21)ppmで,吸入時間は38.5±41(1-182)時間であった。循環不全と肺高血圧症を開始適応とした15例では肺動脈圧(または右室圧)が体血圧の8割以上,単心室手術ではCVPが15mmHg以上でNOが用いられていた。低酸素血症を適応とした9例はFIO21.0におけるPO2が19-48mmHgでNOが開始された。また予防的使用が3例で行われていた。循環改善効果は著効6例,有効4例,短時間有効5例,無効8例,不明4例で有効率(著効+有効)は37%,酸素化改善効果は著効3例,有効12例,短時間有効1例,無効8例,不明3例で有効率は56%であった。いずれかの効果が無効・短時間有効であった13例では,その後再手術,カテーテル治療,再開胸等を必要としたものが8例あった。小児心臓外科周術期にiNOが無効な場合には原因の追究と再手術を含めた対策の検討が必要と思われた。