一般演題

セッション:ポスター 13
セッション名:開心術
日時:9月22日 15:40-16:40
場所:407会議室
演題順序:5番目

46歳時まで無治療で経過したファロ−四徴症の手術経験

神戸大学 大学院 医学系研究科 周術期管理学
○魚川礼子、塩谷 聡、森 美也子、尾原秀史
現在、ファロ−四徴症は二歳以下での手術が一般的となっている。今回私達は、46歳まで未治療であった、ファロ−四徴症根治術を経験したので報告する。
症例)46歳、男性。
現病歴)出生後より心雑音を指摘されておりVSDと診断されていた。幼少時より口唇チアノーゼ、学童期にはsquattingはあったがanoxic spellはなかった。以後激しい運動はさけていたため症状の出現は認めなかった。2001年10月ころより動悸、不整脈を自覚、2002年2月駅の階段を駆けあがった際に動悸、胸部圧迫感を感じたため、内科受診し心エコーにてファロ−四徴症と診断された。尚、術前心臓カテーテル検査にて肺動脈圧は16/4(9)mmHg血液ガスデーターではPaCO227.8mmHgPaO262.8mmHgであった。
臨床経過)ミダゾラム、フェンタニルで麻酔導入したのちベクロニウムによる筋弛緩下で挿管、肺動脈カテーテルを留置した。導入時より100%酸素下で換気していたがanoxic spellは認められなかった。肺動脈圧は30/18(23)mmHg、中心静脈圧は9mmHgで特に肺動脈圧の上昇はみとめなかった。麻酔維持はプロポフォール、フェンタニル、ベクロニウムでおこなった。人工心肺下にてシャント量を測定したところ、人工心肺流量4.0L/minのところ心内環流量1.2L/min、33%であった。手術は経右房経肺動脈アプローチ、心房中隔直接閉鎖、心室中隔パッチ閉鎖、右室流路再建が施行された。人工心肺離脱後の肺動脈圧は24/9(14)mmHgであった。周術期を通じてanoxic spellは認められなかった。手術後ドレナージチューブからの排液が多く再開胸、出血点は胸骨表面の側副血行路であった。ICU帰室後は不整脈など特に問題なく、術当日に抜管、術後3週間で退院した。
考察)一般にファロー四徴症根治術は幼少時に行われることが多い。本症例は軽症であったため46歳と高齢になるまで無治療であった。また一般的に成人における右→左シャントの症例は側副血行路が発達していることが多いが本症例でも止血には難渋した。