一般演題

セッション:ポスター 13
セッション名:開心術
日時:9月22日 15:40-16:40
場所:407会議室
演題順序:3番目

右心房粘液腫の麻酔管理

国立循環器病センター 麻酔科
○松成泰典、香河清和、大西佳彦、能見俊浩、阪本幸世、畔 政和
<はじめに>心臓腫瘍は比較的希な疾患である。そして、それらの大半が左房粘液腫であり、右心系の心臓腫瘍はさらに少ない。治療は原則として外科的切除であり、体外循環の使用は必須といえる。しかし、腫瘍の発生部位が右心房の場合、脱血管挿入部位との干渉が生じる可能性がある。今回我々は2000年から2002年に経験した右心房発生腫瘍3症例について報告する。
<症例>右心房粘液腫3例(男性1、女性2)。発生部位は右心房側壁自由壁2例、心房中隔1例であった。初発症状は切迫嵌頓による呼吸困難が1例であり、残り2例は無症状であった。無症状であった2例は、左房粘液腫の術後フォローの心エコーで見つかったものが1例、不整脈精査中の心エコーでたまたま見つかったものが1例であった。導入時より、三尖弁への嵌頓を防ぐため麻酔管理は、十分な循環血流量を保ち、若干の循環抑制が生じる程度の深麻酔とした。肺動脈腫瘍塞栓を生じないように肺動脈カテーテルは挿入しなかった。経食道心エコーは導入直後に挿入し、脱血管挿入前から腫瘍の発生部位、嵌頓の有無等を観察した。腫瘍発生部位が下大静脈に接している1症例では、大腿静脈から脱血管を挿入した。また、脱血が腫瘍により障害されないことを経時的に観察した。また、体外循環離脱時には三尖弁逆流の評価や肺動脈カテーテルが挿入されていない状態での心機能の評価にも経食道心エコーは有用であった。
<まとめ>右房粘液腫はその発生部位によっては、麻酔管理や体外循環管理に若干の注意が必要で、経食道心エコーから得られる情報が有用である。