一般演題

セッション:ポスター 3
セッション名:大血管手術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:405会議室
演題順序:4番目

急性大動脈解離StanfordA型再手術例12例の検討

横浜市立大学医学部附属市民医療総合センタ− 麻酔科
○籾山幸紀、岩倉秀雅、藤本啓子
1998年1月から2002年5月まで横浜市立大学医学部附属市民総合医療センタ−の急性大動脈解離Stanford A型に対する緊急手術は148例(上行大動脈人工血管置換術118例、上行大動脈人工血管置換に加え、基部、弓部又は弓部下行大動脈人工血管置換術を加えたもの30例)であった。その後再手術になった症例は、10例(6.7%)(下行大動脈人工血管置換術1例、ステント挿入術4例、仮性動脈瘤手術3例、吻合部破裂1例、腋窩大腿動脈バイパス1例)だった。さらに、それ以前に初回手術を行い、この間に人工血管再置換術となった2例を加え、初回手術の麻酔管理時について検討した。当院の急性大動脈解離StanfordA型に対する手術の目的は、上行大動脈の破裂を防止し大動脈弁や冠動脈への解離の進展を予防することであり、上行大動脈人工血管置換術を原則としている。大動脈弁や冠動脈へ解離が進展している場合は基部人工血管置換術を、弓部又は下行大動脈に明らかなエントリ−が存在している場合は弓部又は弓部下行人工血管置換術をあわせて行っている。従って弓部3分枝や下行大動脈にあるエントリ−やリエントリ−がそのまま残っている場合も多くある。今回、人工血管再置換術となった3例のうち、初回手術でエントリ−が確認できた症例は2例、確認できなかったのは1例であった。ステント挿入4例では、いずれもエントリ−を確認できなかった。仮性動脈瘤3例は、いずれも術中に止血に難渋した症例であった。上行大動脈人工血管置換術後の再手術はNeiderhauserらによれば8.2%で当院の6.7%とよく一致した。大動脈解離StanfordA型緊急手術後の瘤化による再手術は、Yamasitaらによれば10.1%である。原因としては弓部大動脈以下にエントリ−が残存したり、吻合部新たにエントリ−が形成されたためとされていている。当センタ−では大動脈解離StanfordA型緊急手術後の瘤化に対して人工血管置換術3例、ステント挿入術4例の計7例の再手術を経験した。今回再手術になった症例は左鎖骨下動脈以下にエントリ−の残存があったもの、末梢吻合部に新たにエントリーが形成されたもの、または吻合部の止血に難渋したものが多かった。このことから、再手術を減らすためには、術中からの厳重な血圧管理と出血傾向の改善が重要であると思われた。