一般演題

セッション:ポスター 2
セッション名:体外循環
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:404会議室
演題順序:1番目

HEMOCHRON®Response を用いた人工心肺でのACTコントロール

岡山大学 医学部 麻酔・蘇生学教室1
高知市 近森病院 麻酔科2
○小坂 誠1、畠中豊人2、宮崎明子1、渡辺泰彦2、森田 潔1
【目的】われわれは体外循環でのヘパリン使用量を、患者の体重によって決定し(300単位/kg)、ヘパリン投与後のACT測定結果から補正してきた。プロタミンも同様に総ヘパリン投与量の1.0〜1.3倍を投与し、同様にプロタミン投与後のACT測定結果から補正してきた。今回、ACT(HRFTCA510)とACT試験管内に既知のヘパリン,プロタミンを封入したチューブ(HRT480,PRT200)とで、各々同時に測定した結果と計算によって求めた循環血液量からヘパリン,プロタミンの使用量を決定するHEMOCHRON®Response を使用したので報告する。
【方法】人工心肺を用いる成人心臓手術患者24例、平均年齢64.6±10.47歳、平均体重56.0±8.35kg(平均値±標準偏差)にて行った。症例は冠動脈バイパス術13例、弁性疾患9例、TAA1例、ASD1例であった。HRFTCA510とHRT480(ヘパリン3単位/mlを封入)のチューブでACTを測定し、結果をヘモクロンHRT/PRT計算ワークシートに入力して必要なヘパリン量を求めて投与した。投与後にHRFTCA510にてACTを調べた。プロタミンも同様にHRFTCA510とPRT200(プロタミン0.02mg/mlを封入)にてACTを測定し、必要なプロタミン量を求めて投与した後に再度HRFTCA510にてACTを調べた。
【結果】ヘパリン投与前のACTは126.5±10.11(秒)であった。HEMOCHRON®Response で求めたヘパリン量は13,900±3,620(単位)で、従来の300単位/kgでの16,900±2,610と比較して有意に少なかった。(p<0.05) ヘパリン投与後のACTは477.5±80.81でHRT480でのACT476.3±154.2との間で有意差は認められなかった。HEMOCHRON®Response で求めたプロタミン投与量は98.4±28.02(mg)でヘパリン投与量より有意に少なかった。(p<0.05) プロタミン投与後のACTは153.2±78.83でヘパリン投与前のACTとの間で有意差は認められなったが、変動が大きく300秒を超えた症例もあり正確にリバースできるとは言えなかった。
【結論】HEMOCHRON®Response では、ヘパリン投与後のACTを予測してヘパリン投与量を減らすことができた。プロタミン予測投与量もヘパリン投与量に比較して有意に少なかったが、プロタミン投与後のACTの値には変動が大きかった。