一般演題

セッション:ポスター 4
セッション名:非心臓手術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:406会議室
演題順序:1番目

大血管合併切除を伴う悪性腫瘍手術患者の周術期合併症の検討

大阪府立成人病センター 麻酔科
○久利通興、岸 義彦
【はじめに】大血管に浸潤した悪性腫瘍は、根治性を求めて手術対象になることがある。悪性腫瘍と大血管が同時に切除された場合には、手術時間の延長、出血量の増加や手術侵襲の増大などが原因となりさまざまな周術期合併症が起こると考えられるが、それらを詳細に検討した報告は少ない。今回、大血管合併切除を伴った悪性腫瘍手術患者における周術期合併症の発生頻度を後ろ向きに調査した。
【対象・方法】1996年1月から2002年5月までの間に当センターにて大血管合併切除を伴う悪性腫瘍手術を受けた患者を対象にして原疾患、合併切除血管、手術時間、麻酔時間、出血量、輸液・輸血量、ならびに術後の中枢神経系、循環系、呼吸器系、肝腎、消化器合併症および感染症の発生頻度と予後を調査した。
【結果】対象患者は40名(男29名、女11名)であった。原疾患は膵癌18症例、肝細胞癌6症例、食道癌、悪性胸腺腫、軟部組織肉腫各3症例、腎癌、胚細胞腫各2症例、胆管癌、胃癌、副腎癌各1症例であった。合併切除血管は門脈23症例、上大静脈、下大静脈各5症例、大動脈4症例、四肢の動脈3症例であった。門脈と大動脈の切除が同時に行われた症例が1例あった。再建法は血管形成術が20症例、人工血管による置換が13症例、自己グラフトでの再建が7症例で、6症例は体外循環を用いて再建が行われた。手術時間、麻酔時間、出血量、輸液量、輸血量はそれぞれ537±178分、617±181分、2792±1847ml、4920±2283ml、1812±2466ml、(平均±SD)で、無輸血症例は9例、自己血輸血のみの症例は2例であった。術後中枢神経、心血管、呼吸器、消化器、肝、腎合併症、感染症の発生は12件(30%)、11件(28%)、13件(33%)、7件(18%)、3件(7.5%)、5件(13%)、8件(20%)であった。術後18名はすでに死亡していたが原疾患による死亡者は9名(23%)、手術関連による死亡者は9名(23%)であった。
【結論】大血管合併切除を伴う悪性腫瘍手術は高頻度に周術期合併症を起こすために周術期の管理には細心の注意が必要である。