一般演題

セッション:ポスター 5
セッション名:小児開心術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:407会議室
演題順序:5番目

超低出生体重児のPDA結紮・切離術の麻酔経験

関西医科大学 麻酔科
○山崎悦子、池田栄浩、佐登宣仁、中尾慎一、新宮 興
超低出生体重児のPatent Ductus Arteriosus (PDA) 結紮・切離術の麻酔を3症例経験したので、報告する。
<症例1> 生後4日、男児、体重700g 在胎週数26週0日、経膣分娩にて出生。Apgar 1分3点、5分3点。 出生時体重730g。PDAの直径は2.4cm。
<症例2> 生後15日、女児、体重408g 在胎週数24週5日、経膣分娩にて出生。Apgar 1分5点、5分6点。 出生時体重530g。PDAの直径は1.9cm。
<症例3> 生後24日、男児、体重613g 在胎週数26週2日、経膣分娩にて出生。Apgar 1分2点、5分2点。 出生時体重666g。PDAの直径は2.4cm。 いずれの症例も、出生後直ちに内径2mmのチューブで気管内挿管された。麻酔は、酸素、セボフルラン、フェンタニル、ベクロニウムを用いて導入し、酸素、セボフルラン、フェンタニルで維持した。手術中は調節換気にて行ったが、3症例とも換気に問題はなかった。PDA結紮・切離時に拡張期圧の上昇を確認した。3症例とも特に目立った出血もなく、手術を終了した。
<考察> 今回、超低出生体重児のPDA結紮・切離術の麻酔を3症例経験した。
 超低出生体重児では、心臓をはじめ、他臓器の先天性奇形の合併や、新生児呼吸促迫症候群(RDS)のような呼吸器疾患の合併、易感染性、易出血性、未熟児網膜症など、様々な疾患を合併する可能性がある。
 超低出生体重児の麻酔管理では、呼吸・循環管理や、輸液・体温管理など注意すべきことが多い。特に、循環血液量が極端に少ないため、出血量や輸液量、電解質の変動やアシドーシスの有無などに細心の注意を要した。また、これらの症例では、手術操作による心肺への影響も大きいため、気を付けなければならない。当施設では、小児の気管内チューブの位置は、すべて直径2mmの気管支ファイバーを用いて確認している。しかし、今回の3症例では内径2mmの気管内チューブを使用していたため不可能であり、体位変換や首の伸展・屈曲の際に聴診を行って、適正なチューブの位置を確認した。