一般演題

セッション:ポスター 5
セッション名:小児開心術
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:407会議室
演題順序:4番目

孤立性右室低形成の集中管理

横浜市立大学 医学部 附属市民総合医療センター ICU
○速水 元、奥谷圭介、水谷健司、後藤正美、山口 修
【症例】4ヶ月女子
【既往歴】特になし
【家族歴】兄が同疾患にて7ヶ月で死亡
【現病歴】出生後まもなくチアノーゼ指摘される.日齢5にルームエアでSpO2 65-86%,心エコー上右室低形成を指摘されたため当センター緊急入院.心エコー上右室低形成,右室拡張障害,心房中隔欠損を介する右左シャントの状態でありチアノーゼ改善のため,lipo-PGE1持続静注開始.Dobutamine併用し呼吸循環状態改善した.生後1ヶ月心エコー上右室低形成は残存するものの右室内腔はやや拡大,心房中隔欠損は縮小,右左シャントは改善していた.その後利尿剤使用し外来フォロー.生後4ヶ月嘔吐,哺乳量低下,呼吸困難出現し救急外来受診.心電図上高度房室ブロック(3:1-4:1,心房レート150bpm,心室レート60bpm),心房負荷,下壁誘導にて陰性T波,v4-6にてstrainT,心エコー上左房拡大,左室拡大,FS 22%と収縮力も低下,LOSの状態であり,ICUに循環管理目的にて入室となった.入室後アトロピン静注するも無反応,isoproterenol 0.02μg/kg/min.開始にて2:1ブロックに改善,利尿も良好となった.ICU入室2日目再び高度房室ブロックとなり,心臓マッサージ施行しながらカテ室へ移送,体外ペーシング施行しながら右大腿静脈よりペーシングカテーテル挿入,VVIペーシング開始,入室3日目抜管,呼吸循環状態安定していたが4日目に突然ペーシング不全となり,CVP上昇,呼吸数低下,全身硬直がみられ,循環虚脱となり直ちに人工換気,心臓マッサージ開始,エコー下ではペーシングカテーテルの位置を修正できず,心カテ室にてカテーテル再挿入するもペーシングに不応であり,心電図上自己波形みられず,3時間後死亡確認した.病理解剖では流出路を含む右室低形成を認めたが菲薄化はなく,ペーシング部位は白色変性しており,心筋変性によるペーシング不全であったものと考えられた.
【結語】
1.孤立性右室低形成の循環管理を経験した。
2.高度房室ブロックの合併に注意が必要である。
3.突然の高度ブロックによる循環虚脱に対し体外ペーシングが有効であった。