一般演題

セッション:ポスター 1
セッション名:モニタリング
日時:9月21日 16:10-17:10
場所:403会議室
演題順序:6番目

褐色細胞腫の麻酔管理における圧波形分析式心拍出量計(PiCCO)の使用経験

東京女子医科大学 医学部 麻酔科学教室1
聖マリアンナ医科大学東横病院 麻酔科2
○高木俊一1、杉内 登2、磯村朗子2、笹野 淳2、伊藤宏之2
【はじめに】褐色細胞腫症例では,循環動態の変化が大きいため循環血液量を予測した麻酔管理が要求される。今回、圧波形分析式心拍出量測定装置 (Pulse Contour Cardiac Output:PiCCO) を用いて、継続的な心拍出量と胸腔内血液量(以下ITBV)を測定し麻酔管理を行ったので報告する。
【症例】28才、女性。左褐色細胞腫摘出術が予定された。術前検査にてカテコラミン3分画ともに上昇が見られた。手術に際しては、6単位の自己血を準備した。麻酔はプロポフォール、フェンタニル、ベクロニウムで行い、硬膜外麻酔を併用した。循環作動薬はプロスタグランディンE1、ジルチアゼム、フェントラミン、丿ルアドレナリン、ドパミンを使用した。心拍出量はPiCCOおよびBaxter社製連続心拍出量測定装置(以下Vigilance)を用いて継続的に測定した。
【結果】心拍出量はPiCCO、Vigilanceともに連動して変化した。腫瘍操作時の循環動態の変化は、Vigilanceに比してPiCCOの反応性が高かった。ITBVは腫瘍操作時の高い血中カテコラミン濃度にあまり影響されず減少傾向を示し、腫瘍摘出後に大きく減少した。また、自己血輸血開始から増加した。
【考察】PiCCOとVigilanceのCCO値のピークの違いから、PiCCOは腫瘍操作や腫瘍摘出後の循環動態の変動を早く捕らえられることが分かった。また、CVP、PAWPは腫瘍摘出後に著明な低下を示したが、SVRの減少によるものと考えられた。ITBVは腫瘍摘出後の循環動態の変化が出血によるものか、カテコラミン減少によるものかを判断する補助になり、ITBVを用いた循環管理により、適切なカテコラミン使用および輸液、輸血管理ができると考えられた。PiCCOを用いた褐色細胞腫の麻酔管理は循環動態の変化を早期にとらえ、適正な輸液量決定などの循環管理の補助になると思われた。