パネルディスカッション

セッション:パネルディスカッション(2)
セッション名:TOFの麻酔管理
日時:9月21日 13:20-14:50
場所:メインホール
演題順序:1番目

Fallot四徴症の管理 -外科医の立場から-

東京女子医科大学 日本心臓血圧研究所 心臓血管外科
○新岡俊治、黒澤博身、青木 満、長津正芳、小林 豊、木田直樹、上村紀夫、細田 進
当科ではMAPCA, 肺動脈閉鎖のない、いわゆる'simple Fallot'症例に対し、1970年より2002年6月までに1,342例の根治手術を施行している。年代ごとの症例数(病院死率)は70-74:463例(22.2%)、75-79:235例(5.5%)、80-89:342例(2.9%)、90-02:302例(1.7%)であり、近年では比較的安全な開心術となった。平均手術時年齢、体重はそれぞれ70-74:119カ月、25.1kg. 75-79:110カ月、23.1kg. 80-89:89.5カ月、18.9kg. 90-02:41.5カ月、12.1kgと、経年的に、根治手術時の若年化、低体重化も認められる。
 過去5年間112例中の平均年齢はさらに低下し36.7カ月(中央値22カ月)で、最小根治手術年齢は生後3カ月、体重は3.5kgであった。一歳未満で根治手術を施行した症例:19例(17%)、1歳代での根治手術:40例(36%)となっている。基本的には乳児期早期でanoxic spell、低酸素血症が高度の場合はBTシャント手術を先行させて一歳代で根治手術を施行する方針としている。実際の過去五年間のシャント例25例の平均月齢は3.1カ月(新生児3例)、シャント手術時体重は5.4kgであった。
 当科の手術方針としては、肺動脈弁輪径が正常肺動脈弁輪径の70%以上の症例では弁輪温存とし、弁輪サイズがそれ以下ではtransannular パッチを使用した右室流出路再建を施行し、術直後の右室圧、中心静脈圧を低値に維持することを目指している。急性期の肺動脈弁逆流防止にはtranannularパッチに一弁を縫着している(自己心膜あるいはGore-Tex)。生存例PA-Index平均286.8(87-891)死亡例平均PA-Index=248であったが、統計学的に有意ではない。
 現在でも一部の症例では、いまだ根治手術時に難渋する症例も存在する。肺動脈高度低形成例、漏斗部高度狭窄例、狭小左心室例、肺内末梢肺動脈狭窄例などである。本パネルディスカッションではsimple Fallot以外のMAPCA例、ラステリ手術例等の症例についても術中麻酔管理上の注意等を提示する。