パネルディスカッション

セッション:パネルディスカッション(2)
セッション名:TOFの麻酔管理
日時:9月21日 13:20-14:50
場所:メインホール
司会の言葉

TOFの麻酔管理

東京女子医科大学 医学部 麻酔科学教室
○野村  実
TOF は比較的多施設で行なわれるが、その重症度や手術成績も大きく異なり、小児心臓麻酔の経験が少ない麻酔科医にも一般的な疾患である。TOF はそのVSDの位置、右室流出路狭窄の程度、肺動脈の発育、両心機能が問題となり、根治術と姑息術に分けられる。術前での心臓カテーテル所見や心エコーなどで手術適応が決定されるが、その診断には限界があり、人工心肺後においても右室圧が高い症例にも遭遇する。
 術中のモニタリングに経食道心エコー(TEE; transesophageal echocardiography)が応用されており、完全な心内修復の難しいことが示唆されている。小児におけるTEEは、まだその普及率は低いが、小児ではプローベの大きさのmismatchingによる合併症が考えられることもその一因である。同時に解剖学的に難解であり、麻酔科医が判断するにはかなりの解剖学的知識が必要である。小児では体重が少ないとomniplane プローブが使用できないため、それらの評価が不十分になりやすい。特に、小児例では将来の発達、成長を考慮するため、人工弁などは使用しにくく、左室と右室の心室圧相互関係も変化するなど血行動態の解析には複雑な要因がからみ、その手術手技の評価には成人とは異なる配慮が必要である。
 今回はTOFの術前評価の基準また右室流出路形成術や肺動脈弁形成術などのupdateな手術手技を解説していただく。麻酔科医には術中のClinical decision makingのツールとしてのTEEの有用性を解説してもらい、術前診断からどのようにTEEを活用するかを中心に議論を重ねたい。